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2014.04.06 07:00|カテゴリ:Security

「客の顔情報を115店舗が無断共有」というニュースで調べたことと切なる願い


 昨日、以下のような驚くべきニュースを見ました。


スーパーやコンビニなどの防犯カメラで自動的に撮影された客の顔が顔認証で解析され、客の知らないまま、顔データが首都圏などの115店舗で共有されていることが4日分かった。
客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有:IT&メディア:読売新聞(YOMIURI ONLINE)



 目的は「万引きの防犯対策のため」ということですが、記事にあるように問題がいくつかあるように思います。
 
 まず、「各店舗は、防犯カメラで全ての客の顔を撮影」という点。万引き対策ということですが、その店に入ったすべての人の顔が撮影されてしまいます。
 

システムを導入する店舗では、「顔認証監視カメラ設置」などのシールを店内に貼って撮影していることを周知している
客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有:IT&メディア:読売新聞(YOMIURI ONLINE)



 とありますが、そのようなシールを貼りだされたところで、すべてのお客が撮影に同意しているとは思えませんし、「顔認証監視カメラで撮影され、データ化され、場合によっては他の関連のないお店とそのデータを共有されること」に同意しているとは思えませんし、それが店に入る前に示されたなら、少なくとも私は嫌だなと思います。
(※防犯目的のビデオ撮影を否定していると誤解されるケースがあったので修正しています。防犯カメラによる録画と顔認証監視カメラでの撮影ではその後のデータの活用方法が異なります。多くの場合、カメラを見つけても防犯カメラだと勘違いしてしまいますが、このケースでは後述のようにそれ以上のことが行われています。なお、防犯目的のビデオカメラによる撮影は利用目的が明らかであると認められるケースがあります。)

 
 もっと問題なのは以下の点です。


他の店舗と顔データを共有していることまでは知らせていない
客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有:IT&メディア:読売新聞(YOMIURI ONLINE)



 撮影だけならまだしも、顔データの共有を他の店舗とも行っているのです。写真そのものではなく顔の画像を顔認証でデータ化したものを共有しているようですが、この「他の店舗」とは文脈から系列店などではなく、同じシステムを導入している関係性のない店舗同士だと考えられます。これはデータを共有される方の同意を取っていなければ個人情報保護法の「第三者提供の制限」に抵触します。
 
 また、怖いのは弁護士の方が指摘している以下の問題です。
 

顔データの共有について、個人情報保護に詳しい板倉陽一郎弁護士は「店側が恣意的に不審者だと登録でき、客にとっては、行ったことのない店舗で不利益な扱いを受ける恐れがある。誤って登録されても反論する機会はない」と指摘する。一方、ソフト開発会社は「万引きを防ぎたいという店側のニーズに応えており、問題ない」と説明している。
客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有:IT&メディア:読売新聞(YOMIURI ONLINE)



 この手のニュースが流れた際に個人情報保護を持ち出すと決まって「やましいことがなければ問題ない」などと言う方がいらっしゃいますが、以下のようなおそれはないでしょうか?
 
 ・店員が誤解して万引き犯ではない人を登録する
 ・店員が気に食わない客や知人を意図的に登録する
 ・店員による操作ミスによる誤登録

 このような場合でも万引き犯とされ、データを共有している店舗間で共有されてしまうのです。実に恐ろしい。しかも、登録されたことは本人にはわかりません
 
 
 こんなシステムを提供している会社って本当にあるのかなと疑問に思い、記事内の情報を元に探してみました。
 

顔データを共有しているのは、名古屋市内のソフト開発会社が昨年10月に発売した万引き防止システムの導入店舗。首都圏や中京圏のスーパーなど50事業者計115店舗で、個人のフランチャイズ経営の大手コンビニなども含まれる。
客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有:IT&メディア:読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 
 
 「顔認証 万引き防止 データ共有 名古屋」というキーワードでググってみると……。ある会社ばかりがヒットします。
 
顔認証 万引き防止 データ共有 名古屋 - Google 検索

 もちろん、こんな検索結果だけでこの会社が記事の対象の会社と決めつけてはいけません。

 
 ただ、個人的に万引き防止システム自体に興味が湧きましたので、せっかく検索で見つかったことでもありますし、この会社が販売している「LYKAON」というシステムについて調べてみることにしました。すると会社のホームページ以外に製品解説用のWebページがあることがわかりました。

 まず、こちらが会社のホームページです。
 
リカオン株式会社/LYKAONオフィシャルサイト



 ホームページ右下に会社の所在地が記載されていますが、東京本社以外に名古屋本社もある結構大きな会社みたいです。
 
 ホームページに記載されている会社案内を見ると、会社代表の方の挨拶に「常に社会貢献できるサービスを創造する」とあるなど立派な会社のようです。
 
 
 一方、こちらは製品の紹介サイトです。
 
リカオン 顔認証万引き防止システム【LYKAON】/防犯対策システム特許出願



 こちらを見ると、製品の詳しい情報がわかります。「メディア掲載情報一覧」を見ると、各種メディアにも取り上げられている有名な製品であることがわかります。
 
 
 さらに詳しく見てみると、このシステムにも共有機能があるようです。
 

ここが他社では真似出来ないシステム。顔認証万引き防止システムLYKAON(リカオン)の中枢となる宝庫。 全国の顔認証万引き防止システムLYKAON(リカオン)導入店が登録した「注意人物」を共有することが可能に。 系列チェーン店でなくとも全国のLYKAON(リカオン)導入全店、注意人物顔データを共有することで更に万引き対策が可能となりました。
LYKAON share(リカオンシェア)|顔認証万引き防止システム【LYKAON(リカオン)】/防犯対策システム特許出願



 「ここが他社では真似出来ないシステム」だそうです。ということは、このような顔認証データの共有システムは他の会社にはないということですね。
 

 さらに……。
  
 全国の顔認証万引き防止システムLYKAON(リカオン)導入店が登録した「注意人物」を共有することが可能に。  
 
 系列チェーン店でなくとも全国のLYKAON(リカオン)導入全店、注意人物顔データを共有することで更に万引き対策が可能となりました。
 
 
 これはまずいのではないでしょうか?

 「注意人物」と判定されるだけで登録され、共有されてしまいます。誤解や悪意、ミスで登録されるかもしれません。また、前述の読売新聞の記事に記述されていたシステムと同じく、本人の同意もなしに共有することで、個人情報保護法の「第三者への無断提供」に抵触するかもしれません。実に心配です。
 
 
 また、こちらのページにイラスト入りで詳しく「LYKAON」について説明されているのですがその中にも気になる記述がありました。
  

自動保存された顔データは、日付・時間・写真別に一覧でき、そこから要注意人物を判別して登録。疑わしい人物や万引き犯の情報をデータベースに登録できます。
LYKAON(リカオン) 万引き被害の現状|顔認証万引き防止システム【LYKAON(リカオン)】/防犯対策システム特許出願




 疑わしい人物もデータベースに登録するんですか?

 最初の方に書きましたが、お店の人が疑わしいと思っても実は違ったなんてことはないのでしょうか?もし、間違って登録されたとしてもその人にはわかりませんから削除してもらうこともできません。そうこうするうちに、導入しているすべての店で共有され、そういう店にたまたま行ったら、「万引きするのでは?」といった感じで対処されてしまうのではないのでしょうか?実に心配です。
 
 
 さらに、このイラスト内の写真について、デジマガの篠原修司 (digimaga)さんが気になるツイートをされています。




 ozpaさんと言えば、私もなんどかTwitterなどでお話させていただいたことのある有名なブロガーさんです。お写真を拝見したこともありますが、実によく似ています。
 
 それから「ligのひろゆき」さんというのはこちらの方でしょうか?
 
広報担当のひろゆきがPAKUTASOでフリーの写真素材になったで! | 株式会社LIG
この度、LIGとPAKUTASOさんがコラボをして俺がフリーの写真素材として出演しさせていただきました!



 お二人とも、PAKUTASOという無料写真素材サイトにお写真を提供しているのでそれを使われたのかな?なにぶん顔写真システムの説明だったので「無断で顔写真を使われているのでは?」と一瞬思いましたが、無料写真素材サイトの写真ならいいのかな? 

 おっと、またもや話がそれてしまいました。話を再度元に戻しましょう。
 

 製品紹介サイトには、導入事例のビデオもありました。 


 
 あくまでもイメージビデオなのでこのビデオに出てくる「Club Winner's」というお店は架空のお店だと思いますが、この動画では、
 
 「挙動や何も買わずに出て行った先ほどの顧客を怪しいと思い、LYKAONに登録します」

 といった説明がついています。
 
 実際にそんな安易な登録の仕方をすることはないと思いますが、挙動不審だったり、何も買わずに出たりすると、店員さんに怪しいと思われシステムに登録されるなんてことが実際に行われたらと思うと心配になります。それにビデオ内で怪しいとされる人に同意を取っていませんから、そのデータを共有するとしたら個人情報保護法の「第三者提供の制限」にお店が抵触するのではないでしょうか?短くまとめるために、同意を取るシーンを省略したのかもしれませんが。
 
 それにしても、万引き犯でなくてもお店に入るだけで撮影されるのですから、鼻をほじったり変な顔をしないようにしなければなりませんね。緊張して挙動不審な動作をしたら「注意人物」として登録されるかもしれませんし、何も買わずに出るのもまずいし……。ショッピングは楽しい物なのに、こういうシステムを導入しているお店では気疲れしそうですね。
  
 個人的には、顔写真を撮影しているショップのリストが欲しいなと思います。特に記事にもあったコンビニ!どのコンビニチェーンなんでしょうね?チェーンによっては共有範囲が全国区ですし、よく利用するので気になります。
 
 いずれにせよ、顔認証システムについてはどうしてもプライバシー侵害の問題がつきまといます。
 
 知らないところで写真を撮られ、それがデータ化され、共有される社会というのはあまり気持ちの良いものではありません。また、そこに間違いや悪意が介在するとプライバシー侵害だけではすまないという恐れもあります。
 
 もちろん、テロや犯罪防止という面で効果があるというのはよくわかります。万引きもお店にとっては死活問題ですから、顔認証システムが効果的であるということも理解できます。

 
 ただ、プライバシー侵害に対するルール作りやプライバシー侵害を防ぐ仕組み作りが十分ではない状態で実用化を進めるのは早急です。

 実際、NICTがJR西日本や大阪ターミナルビルの協力を得て行う予定だった「顔識別」の実証実験も同じような理由で延期されています。

ニュース - JR大阪駅ビルの「顔識別」実証実験、プライバシー侵害の懸念から延期:ITpro
監視カメラから取得する画像データと顔識別技術を基に人の流れを解析する計画だったが、プライバシー侵害に関する懸念が高まり、延期に追い込まれた格好だ。



 顔認証システムを実際に活用する場合は、プライバシー侵害に対する問題を解決する必要があります。

 システム開発ベンダーや導入店舗、および関連する組織の方々には、利便性だけでなく、そういった面にも力をいれてもらいたいと切に願います。「常に社会貢献できるサービスを創造する」という素晴らしい理念を掲げていらっしゃるリカオン株式会社さんこそ、その音頭を取られるのにうってつけなのかもしれません。お客もお店も満足できるようなサービスの創造を期待したいと思います。





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