2016.04.17 20:00|カテゴリ:Security

熊本地震における関テレの給油割り込み疑惑から被災時の優先給油を考える


 2016年4月14日にマグニチュード6.5、最大震度7、4月16日にマグニチュード7.3、最大震度6強を記録した熊本地震。
 
 この地震にまつわり、あるガソリンスタンドでマスコミの車が割り込んで給油をしたと指摘するツイートが話題となっています。
 



 写真の車のロゴから、フジテレビ系列準キー局関西テレビ放送株式会社(愛称関テレ)であるとみられています。
 
 このツイートに対しては、共感からか25,000を超えるツイート、5,000を超える「いいね」がつけられており、リツイート時のコメントには、関テレに対する厳しいコメントも多数見受けられます。
 
 ただし、中には冷静なツイートもあり、車種から軽油であったのではないか、軽油側は空いていたのではないかというコメントもありました。
 



 この可能性はあるかもしれません。ただし、関テレの車の前に並んでいた車すべてに対し軽油ではないことを確認したのかどうかという問題があります。


 また、このようなツイートもありました。




 災害時の事前契約という話ですが、テレビ局かどうかはひとまずおいておいて、確かに優先契約の考え方はあります。
 
 これは、BCP(事業継続計画)に基づいたもので、自家発電設備などを設置した企業・団体が、あらかじめ大震災等の緊急時に燃料の安定的な供給を確保するため、燃料供給先と契約をかわしておくというものです。
 
 ただし。この契約は一般的にその企業・団体がある地域が被災した場合の話で、被災地域にわざわざ入っていった場合が対象となるかというと怪しいところです。契約内容によるのかもしれないのでご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。
 

 また、先のツイートでは、「契約」とありましたが、「契約」ではなく国や自治体が定めたルールとして、緊急時にメディアに燃料を供給する仕組みがあるのかもしれないと考え、調べてみたところ、資源エネルギー庁が公表している「石油の緊急時供給体制に係る課題への対応について」という資料を見つけました。
 
 
 この資料によると、優先給油の対象となる緊急車両を以下のように定義しています。


①「緊急通行車両確認標章」をフロントガラスに掲出している車両
災害対策基本法等に基づき、都道府県公安委員会が必要と判断した車両に標章が発行される。具体的には、行政機関、電力・ガス・電話会社の車両、医師・医療機関の車両、建設用重機や道路啓開作業用車両に加え、タンクローリー、路線バス・高速バス、物資輸送のための大型貨物自動車といった車両も状況に応じて災害復旧活動に必要となる車両として対象となり得る。

②パトカー・消防車・救急車等、赤色灯がついていて、かつ、サイレンを鳴らしながら走行する車両
(道路交通法に基づく緊急自動車)

③自衛隊車両
一般車両とは異なる6桁のナンバープレートをつけている車両。
出典:石油の緊急時供給体制に係る課題への対応について
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/006_03_01.pdf)



 明示的にマスコミの車が緊急車両であるとは記載されていませんが、該当の関テレの車が “「緊急通行車両確認標章」をフロントガラスに掲出している車両” だったとすれば、優先的に燃料供給を受けることは問題ないでしょう。
 
 まだ調べ尽くしているとはいえない状態ではありますが、3パターンほど、関テレの車が優先的に燃料供給を受けても問題がなさそうなパターンがあることがわかりました。

 本件に対し、関テレ側の対応がまだないため、「関テレの車が割り込んで給油した」と決めつけることはできません。

 しかし、たとえ給油に問題がなかったとしても、最初に引用したツイートをなさっている方に「無視して我先にガソリンを入れていた」と感じさせるような行動をしたのであれば、被災者に対する配慮が足りなすぎます。
 
 「前に軽油を給油する車がいないのを確認した」、「契約により優先給油ができる」、「緊急通行車両なので優先給油の対象である」といった説明くらいはできるはずです。
 

 被災状況がわかるので報道そのものはとてもありがたいと思います。
 
 しかし、被災者の方々は不安な気持ちをかかえ、疲弊しきっています。本件とは関係ありませんが、たまたま見た報道番組で、疲れきっている被災者に対し、執拗に質問を繰り返しているケースを見かけました。私には、記者が想定しているような回答が得られないので、無理にそれを引き出そうとしているように見えました。

 すべての報道関係者がそうだとは思いませんが、報道を見ていて明らかに被災者への配慮がかけていると感じるケースがあります。報道する側にはもっと被災者に寄り添った報道をお願いしたいものです。

【追記】
 このようなケースもあるそうです。今回の関テレがドラム缶で燃料を持込み件のガソリンスタンドに預けていたかどうかまではわかりません。



 関テレの車が優先的に燃料供給を受けても問題がなさそうなパターンの4つ目ということになりますが、すでに書いているように、給油そのものに問題がないとしても、被災者への配慮はあってしかるべきかと思います。

関テレが割り込みを認めました


関テレ、給油割り込みを認める|I believe in technology
正直、かなり失望しました。問題となったツイートを見た際には、対応がまずかったけど報道側には少なくとも給油する正当な理由があるものと思っていました。もちろん、対応のまずさは問題ですが、報道としてのまっとうな義務を果たすため、正当な手段で給油していたのだろうと。



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関テレ割り込み事件の報道状況 都合の悪いニュースは報じないフジサンケイグループと民放テレビ局馴れ合いの実態|I believe in technology
関テレの中継車が熊本地震被災地で並んでいる住民の列に割り込みガソリンを給油した件を各報道機関がどう報じるか、各社のWebサイトを中心にチェックしてみました。


 

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